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2020.04.20お知らせ認知症でも遺言を残すことはできるか

民法では遺言をする者の条件として「遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない」という、実にシンプルな規定を掲げています。
遺言者に遺言能力がなければその遺言は無効となるため、裁判上は、遺言者が遺言をした時に、この能力を有していたかどうかが争われるわけです。
認知症だった親が亡くなり、その後に遺言状が出てきたとしても、それが書かれた時点でどの程度の判断能力があったのか、それを明らかにすることは簡単ではありません。
ひとくちに認知症といっても、その症状の程度や現れ方にはかなりの差があります。
そのため、裁判にまで発展した場合には、病院のカルテや介護記録など、集められた多くの資料を参照しながら厳密な判断が下されます。
一方、成年被後見人であっても、一時的に「事理を弁識する能力」を回復した時には遺言をすることができ、その際には「医師二人以上の立ち会いがなければならない」という規定があります。
つまり、認知症とはいいながらも、時々健常な状態に戻る…いわゆる「まだらボケ」のような状態であれば、成年後見人を付けるとともに、医師の立ち会いのもとで遺言を残すことが法的には可能です。
ですが、そうした状況になる前に手を打っておけるならば、それが一番です。
認知症というものはなかなか自覚しにくいものですが、高齢者の方が「遺言を残しておきたい」と思い立ったら、判断能力について医師の診断を受けることも考えておくと良いでしょう。
診断書をもらっておけば、遺言能力を確認する客観的な証拠になりますし、その上で公正証書遺言を作成しておけば安心です。
公正証書遺言は、公証役場で公証人が記述し、さらに証人2人以上の立ち会いのもとで作成される遺言ですので、のちのちトラブルになることも少なく、信頼度の高い遺言といえます。
認知症になってしまうと多くの契約や手続きができなくなります。
また前述のとおり、遺言を残しておいたとしても、それが書かれたときに果たしてきちんと遺言能力を持っていたのかどうかが問題になります。そうしたことを考えると、判断能力が落ちる前に対処しておくことが非常に重要だといえるでしょう。



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